今日は木曜日。来月3月から木曜日の午後休診というご案内を今年に入ってからしておりますが、その影響からかいつにも増して空いてる午後になっています。ここ最近の怒涛のブログ執筆でネタも気力も尽きかけておりましたが、来月予定だったテーマ、「甲状腺機能障害」を仕上げて早々とアップしようと思います。

 

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さて最近特に高齢の猫ちゃんで、『甲状腺機能亢進症』という病気が多くなってきました。

 

数年前に甲状腺ホルモンの数値を測れる機械を導入したというのもありますが、以前にもお話しした様に動物の世界でも高齢化がどんどん進んでおり、今や10歳以上の子の来院も全く珍しくないのが大きな理由かと思います。年齢が上るにつれて、『猫は甲状腺機能亢進症』『犬は甲状腺機能低下症』という病気が多く見つかる様になりました。ちなみに甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を促進するホルモンで、人間だと喉ぼとけ辺りの左右両側にある線組織です。

 

症状は漠然としてますが『甲状腺機能亢進症』の場合、概ね以下のようになります。

食欲ある割に痩せてくる 

※ 多飲多尿

落ち着きなく、よく動き回る

歳の割には元気そうで、時に攻撃的に感じる

人間の場合だと、指の震え、イライラする、汗をかきやすい、疲れやすい、などの症状もあるようです。

 

⬇︎ 当院の受付裏の検査コーナーと、甲状腺ホルモンとコルチゾール(副腎皮質ホルモンの一種)を測る機械です。

 

 

⬇︎ 先日のオンラインセミナーでも、7歳以上の猫で約1割、13歳以上で約2割弱が『甲状腺機能亢進症』というデータらしいです。当院では怪しいと思う子だけ他の検査と同時に調べてるので、感覚的には13歳以上では3〜4割くらいで発見されてる気がします。

 

治療としては、内服薬による内科療法と甲状腺一部摘出による外科療法がありますが、通常は薬によって甲状腺ホルモンの数値を測りながら量を調節していきます。私は過去に甲状腺癌の手術を3〜4例行って成功してますが(いずれも猫)、腫れてる甲状腺は分かり易くていいけど、むしろ正常な大きさの甲状腺摘出の方が手間取る様な気もしています。それはともかく高齢でそれなりにリスクある状態なわけですから、甲状腺癌もしくはその疑い濃厚でもない限り、内科療法でも十分ではないかと私自身は思っています。