久しぶりに骨折手術の話題です。そもそも犬も猫も室内飼いがほとんどのため骨折自体が昔に比べて極端に少なくなり、当院で言えば10数年前までは年間最低でも10件以上手術してたのが、今現在では年数回も有るかどうかにまで減ってる状況です。

 

ましてや上腕(前脚の肘から上)となると圧倒的に数は少なく、今回の手術は本当に久しぶりになります。ちなみに昔割と多かったのは交通事故による大腿骨折や骨盤骨折だけど、都会化されて放し飼いの犬猫少なくなって今ではほとんど診るケースは無くなりました。時代の移り変わりを感じますね。

 

ちなみに蚊に刺される事によって心臓に寄生するフィラリアの手術も、予防薬の普及によって感染犬を診る事すら少なくなっています。大都会でインターンされた先生などは1度も手術見た事ない先生もいるようなので、地域性とかもやはり相当大きいかもしれません。

 

 

 

⬇︎ 真ん中辺り、ポキっと斜骨折で折れています。基本的に骨折の手術は中央部が1番やり易く、関節近くになればなる程手術の難易度増して術後も要注意となります。

 

 

⬇︎ 手術中に骨の中に入れるステンレスのピンの長さを測るため、あらかじめ写真おこしておいてシャーカステン(壁掛けのフィルムを読む医療機器)に貼っておきます(上の写真)。

 

術後はピンの長さや収まり具合の確認のため、必ずレントゲン撮ってオーナーさんにも確認して頂いてます。今回の手術は骨の中にピンを1本入れた後、更に医療用ワイヤーで骨の周りをグルッと一巻きして補強しています。最後はピンの長さ調節してピンカッターで切断後にヤスリがけして断端部を滑らかにし、更にトンカチでとんとん打ち込んで終了という次第です。

 

ただどんなに正確で綺麗な術後レントゲンでも、1ヶ月後位に曲がってたりピンが折れたりというケースもあるので、いかに動物の場合安静にするかというのも非常に大事になります。