例によってオンラインセミナーでの話題です(去年の過去ログ)。最近マイブームの如くセミナー視聴しまくってますが、以前から我々の間でも話題になってた『ワクチンプログラム』について。つまり、どういうサイクルで打つかという問題です。なお専門的にお話しすると長くなって分かりにくいかと思うので、要点だけピックアップしてお話しします(それでも分かり辛かったらごめんなさい)。

 

今現在犬の場合は『狂犬病ワクチン』と『混合ワクチン』に大別されてて、『狂犬病ワクチン』に関しては国の法律で飼い主の義務として明確に定められているので、特別な事情でもない限りは必ず打たなくてはなりません。日本は島国ですが世界的にみれば多くの国で毎年感染者が出ており、もし万一だけど一旦発病したらほぼ100%の死亡率という恐ろしい伝染病です。

 

さて問題は飼い主さんの任意である『混合ワクチン』の方です。実はこの件はもう何年も前から世界的にそういう流れだったんですが、子犬の時期に2〜3回、以後毎年一年に一回の追加接種を見直す動きが始まっています。子犬の時期の複数回接種理由は母犬からの移行抗体との兼ね合いで必要ですが、これまでずっと当然の様に行われて来た毎年の追加接種に関しては、ワクチンによる『副反応』という観点から数年に一回にしようという方向になって来ています。

 

ただし、ワンちゃんによってワクチン抗体の持続力が全く違うという理由からこれまでなかなか進展していませんでした。実際は検査屋さんに外注で血液を送ってやれば数日後には結果が出るんだけど、それに要する手間とコストと時間を考えると(結局飼い主さんがその分を負担)、初めからワクチン打つ方がはるかに手っ取り早くて安上がりだからです。勿論抗体チェックして低ければ、数日後には又病院訪れてワクチンを打つ事になります。打たないと十分な抗体維持が出来てないわけですから感染の恐れが出て来ます。

 

なお、犬パラインフルエンザウイルス、犬コロナウイルス、ボルデテラおよび犬アデノウイルス2型については、いずれの病原体も局所感染性であり、血液中に存在する抗体が直接的に発症防御に関与しないため、血液中の抗体価は必ずしも発症防御能を判断する指標にはなりません。
このため、発症防御能を判断する有効な手段がありません(マルピーライフテックより)

 

実は本日の本題がこちらです。実は去年、抗体を院内で調べる事の出来る検査キットが発売されています。ただしこれも実は色々問題点というか難点ありそうです。通常の『フィラリア検査キット』や『猫エイズ&白血病検査キット』に比べると高コストで、なおかつスタッフ1人がほとんど付きっきりで30分弱作業する必要あります。その上有効期限が工場出荷時で?1年半ですので、もし検査を受ける飼い主さんが少なければ期限過ぎたら全部廃棄処分になり、そのリスクを考えるとどうしても普通の病院は二の足踏むかと思います。

 

当院としてもスタッフと議論重ねたけど、やはりほとんどが期限切れになるのでは?という結論に残念ながら至りました。なお今現在秋田県内では2軒、お隣岩手で1軒、なんと仙台ですらまだ5〜6軒(しかもほぼ企業病院)という現実です。さすがに東京や神奈川(主に横浜)では多くて、数百軒程の動物病院が既に登録されてるようです。やはり大都会になればなるほど、コスト面も含めて飼い主さんのこういう需要は高いのかもしれませんね。

 

なお、、他院かかりつけのオーナーさんに(お願い)。

こういう時代ですのでいずれ遅かれ早かれ、特にネット世代の方々はいち早くこういう情報を知る機会あるだろうと思いブログアップしています。当院としてもコストやスタッフ人員やりくりの面から二の足踏んでる状況ですので、ご自分のかかりつけの先生にこのお話をしてトラブルに発展しない様お願い致します。一つのトピックとしてお読み頂けると幸いです。

 

 

 

ちなみに『猫用検査キット』も出ているようです。

むしろこちらの方がかなり現実的かもしれません。何故なら副反応の発現率は犬より猫の方が若干多い感じしますし、又より深刻な反応を引き起こす子もたまにいるからです。猫の場合は打っててもそれらしい症状出す子も中にはいますし、ワクチンの有効性や抗体価を知る意味でも今後期待できる様な気がしています。

 

⬇︎ メーカーHPで、院内説明の仕方などがアップロードされています。

⬇︎ 雪もほとんど消えかけ、今夜は綺麗な月夜です。春も近そうですね。