さて今回もオンラインセミナー話題で前回に引き続き「猫の皮膚病」ですが、講師の先生が今回は皮膚科専門医で他院からの紹介診療もバンバン多いという医療センターの先生です。なので既に一次診療の病院で一通り検査や治療が行われてる子も多く、「それでも痒みがあまり引けない猫の治療をどうする?」といった内容となっています。
検査や治療に関しては割愛となるけど、ちょっとユニークな「心因性」と思われるケースについても触れられてたので取り上げてみます。解決策の一つ「野に放つ!」ってすごいインパクトですが、元々猫科動物は3次元に動き回る動物でハンティングの名人(名猫?)です。それが完全室内飼いで平坦な2次元運動ばかりで狩も遊びもほとんど無いというストレス、これが痒みを伴う皮膚病の原因にもなりうるといった内容です。
分かりやすく言うなら室内だと「やる事ないから舐める、暇だから舐める」、結果「舐め続ける事で皮膚炎が生じて益々舐め続ける」という悪循環です。そこで「野に放つ!」のが1番というわけですが勿論無理な現状をどうするか?というなかなか難しいテーマです。(ただし疥癬という外部寄生虫による皮膚病でないという前提ですが)
ちなみに皆さんは「痒み」の判断て難しいと思った事ありませんか?猫は元々健康ならグルーミングする動物ですし、毎日ペロペロ舐めててもあまり気にしないんじゃないかと思います。実は私も子供に言われて気がついた事もあるくらいで、ガリガリと足で引っ掻く程でもなければあまり気にしなかったので大いに反省です。
「繊細な心の持ち主ほど」、、って痒みに限らず、そしてまた猫に限らず人間の病気においても少なからず絡んで来るような気がします。医療関係者の方は勿論ですが、日頃色々なご病気で悩まれてる方ならおそらく共感出来る所もあるのではないでしょうか。
毎日色々な猫ちゃん診察してて思うのは、本当に色んな性格の子がいるという至極当たり前の事実。臆病でビクビクしてたり逃げ惑ったり、反対に常に興奮状態で猫パンチやシャーシャー攻撃の子、かと思うと何やっても本当におとなしい子まで様々です。ここでは俗に言う「豆腐メンタリティ」の子の痒みが問題なわけですが、性格を変える事は極めて難しいので生活環境を整えてストレス軽減を図ったり薬物治療行ったりしていこうというものです。
具体的には「トイレ関連を整える」「3次元で運動出来るよう改善」「おもちゃ与えたり一緒に遊んであげたり」など考えられるけど、それでもあまり変化ない場合は「抗不安剤(精神安定剤)」等の薬物治療を検討する事になるかと思います。