前回に引き続き猫の心臓病です。
一口に心臓病と言ってもタイプはあるのですが、今現在猫の場合多くは心臓の壁(心筋)が厚くなって全身に血液が行き渡りにくくなってしまう「肥大型心筋症」が多いとされてます。
昔多かった「拡張型心筋症」は主に食事中のタウリン不足から起こるものだったけど、ほとんどの子がいわゆる猫マンマからキャットフードに変更なった現在あまり診られないとされてます。
肥大型心筋症は「7〜8頭に一頭の割合の発生率」と報告されてて、意外と多いんだなという印象で驚きます。つまり毎日病院に来院してくる猫ちゃんに必ず1匹以上はいる計算、、こう考えると麻酔入れるのもより慎重にならざるを得ない感じです。
さて今回は予防と症状についてですが、実は予防に関してはコレという決定的な予防策は無いのが現状です。ストレスや静脈内点滴や麻酔によって発症する可能性もあるので、心筋症と診断されたら出来るだけ避けるようにするしか手はありません。
そもそも原因不明だったり遺伝的要因(メインクーンやラグドールやアメリカンショートヘア等)だったりですが、ただ心臓病の一般的予防や治療上「肥満」と「塩分」のコントロールは重要で人間同様適度な運動と食生活は大事かと思います。
私はよくオーナーさんへの説明で「肥満」「興奮」「塩分」のお話しをするけど、これら全て高血圧に繋がるもので飲み薬も血管拡張剤という血圧下げる方向のお薬になります。つまり高血圧こそ諸悪の根源であり、いかにこれをコントロールするかが心臓病のカギかと思います。
なお季節によっては部屋と廊下、家の中と外の散歩時でも相当違うでしょうから発症後はここら辺も注意が必要ですね。
⬆︎ 写真はスタッフの猫で本文とは関係ありません。
「症状」は、主に「食欲・元気消失」「咳」「呼吸状態がおかしい」「突然後ろ足が立たなくなった」などですが、実はこういった症状出た段階でかなり厳しい段階に入ってる可能性が高いです。
猫はよく「痛みや具合悪さを隠す動物」と言われるけど、これは野生の世界で他の動物によって捕食されるのを避ける野生の本能の名残りとも言われてます。
心臓病から来る突然の呼吸器系の異常の多くは「肺水腫」や「胸水」を伴っており、これは文字通り肺や胸の中に水が溜まってしまう状態をさします。
後ろ足がマヒするのは血栓と言って血の塊が動脈のどこかに詰まる事によって起こる症状で、こちらも非常に経過は思わしくなく残念ながら死亡率も高いです。
今現在基本的には根治しない病気なので、出来るだけ無症状のうちに早期発見して進行や発病を遅らせてあげるしか手はないようです。今後は近い将来、術前検査や健康診断検査でスタンダードになるかもしれませんね。
※ 次回は治療についてお話ししようと思います。