前回ブログの「少年と犬」、獣医師的にも色々気になる部分あって少し掘り起こして考察してみようと思います。映画は直木賞ベストセラーを実写化したもので、所詮映画でしょと言われればそれまでなのでツッコミはどうかご容赦ください。あまりネタバレしない程度にはしますが、ご覧になる予定の方はスルーされた方が良いかもしれません!

 

 

 

その奇跡に涙する。

制作チームがあの、、

 

スタッフ達とくれば、ますます涙しそうな予感ですが、、

 

 

まず1番最初に気になったのはやっぱり、犬が5年の歳月かけて東北から九州まで旅する、そして昔のオーナーの元(すみません、飼い主ではなく単なる公園での遊び友達みたいな関係でした)にある日たどり着くという感動的設定です。勿論その間色々あって海も渡る事が出来るわけだけど、頼りになる「匂い」をたどる事もなく帰巣本能」とも全く違う「捜索本能」や「追跡本能」のみで3千キロ移動してしまう、、伝書鳩のように地磁気を感知して数ヶ月がかりで我が家に戻って来た犬や猫の話はたまにあるけど、全く行った事もない土地の飼い主にとなるとさすがにうーん、、、としか💦

 

 

気になるマイクロチップについても法的に義務化されたのは2022年6月1日、これは販売業者であるペットショップやブリーダーが行わないといけないもので、飼い主さんの場合はあくまで努力義務で罰則もありません。

阪神淡路大地震(1995年1月17日)をきっかけに議論始まったマイクロチップだけど、それから27年も経ってようやく法制化されたわけですね。そうなると東日本大震災があったのが2011年3月11日なので、それ以前のマイクロチップ装着率はおそらく相当低かったと想像出来るけど本件の場合は??などと思ってしまいました。

 

 

⬇︎ 上がマイクロチップを装着してる猫のレントゲン写真。黒い波線の中に小さな金属物が写ってるのが分かるかと思います。胸背部は色んな皮下注射を行う部分だけど、右利きの獣医師は動物の背中中央部あるいはやや左側に打つのが自然なスタイルになるため、私はあえてそこを避けて肩甲骨右側やや後方に打つようにしています。(万一注射でマイクロチップを破壊しないとも限らないため)

 

下写真は当院のマイクロチップ読み取り機で、左がスイッチオンした所、右がスキャン開始状態であっという間に読み取ってくれます。ちなみに昔はかなり馬鹿でかい虫眼鏡の様な機械使ってたけど、現在のはスマートで感度も良く非常に扱いやすくなりました。

 

 

そして最後に、これも本当に気になったというか一言言いたい位のシーンは、ラスト近くの女性獣医師さんの対応とお父さんの反応というかその後の展開です。「えー〜?うーんコレってどうなの?そんなんで良いの?」って感じで、ストーリー悪くはないと思うけどもう少し脚本どうにかならなかったかなと獣医師的には思うわけです。

 

熊本の獣医さん達怒っちゃうんじゃないの?と感じるくらい、たとえ本当にダメでも「レントゲン撮るなり抜くだけ抜くなりヤルだけやってみようよ?」「あるいは他の病院紹介しようよ?」って、これもまた獣医師的には大いに思ってしまったわけです。(ちなみに損傷部位が左上腹部辺りだと「胃・脾臓・大腸・ひょっとして腎臓」なので、生存率ゼロではないかも、、??)

 

 

まあこんな事あれこれ思いながら観るのは獣医師か看護師か、くらいだと思うので問題ないかもしれないけどどうなんでしょうか。なかなか自分的にはモヤっとする悩ましい映画でした。

 

すみません、けっこうネタバレしちゃいましたかね?💦