これまでにも何度か心不全の話題は取り上げてるけど、今回はその治療薬の一つである「利尿剤」のお話です。治療の主役はあくまで以前はACE(エース)阻害薬という一種の血管拡張剤、最近はピモベンダンという強心作用と血管拡張作用を併せ持つお薬が主流となってますが、今回はとりあえず利尿剤にスポットを当ててみます。
これは文字通り尿量を増やすお薬です。心不全は心臓のポンプ機能が悪くなって腎臓への血流量が減り、結果として尿が作られにくくなって体内に余分な水分が増えます。この余分な水分が増えると更に心臓の負担が増えるので、利尿剤は尿をどんどん出して体内の余分な水分や塩分を減らす目的のお薬となります。
利尿剤にはいくつか種類あって一般的によく用いられるのが「フロセミド」と呼ばれる主成分のお薬ですが、デメリットとして「腎臓への悪影響」「低カリウム(電解質)血症」「腸のむくみで吸収低下」「長期連用により効果が薄くなる(耐性)」などが挙げられます。
この中でも現実的に1番問題なのが「腎臓への悪影響」で、大なり小なり腎臓はダメージ受けるので当院では毎月1回血液検査にご来院頂いております。中にはやはり数値が悪化する子もいますが、心臓や肺の状態、咳の程度やその子の年齢等考慮しながら投薬をどうするか話し合いの上決めている現状です。
つい最近国内初の犬用利尿剤で主成分「トラセミド」という薬が発売されたけど、こちらは「作用時間長く1日1回の投与」「低カリウム血症のリスクが低い」「消化管からの吸収が良い」という特徴があり、その割には腎臓への影響はフロセミドと同等程度に抑える事が可能というものらしいです。これで腎臓への影響がもっと小さければ言う事なしですが、利尿剤が強力であればあるほど多飲多尿と腎機能の悪化は起こりやすいので難しいところです。
なお心不全の症状を悪化させる要因として「興奮」「肥満」「塩分過多」など挙げられるけど、これら全部高血圧に結び付くものであり、内服薬も基本低血圧をきたす作用である事から高血圧がいかに悪化要因なるかお分かりかと思います。循環器にとって「高血圧はまさに諸悪の根源」と言っても過言ではないかと思います。
さて未だ梅雨明け宣言無い秋田県、先日の大雨被害の爪痕もまだまだ完全解消されてない状況ですが、地元土崎では昨日から「土崎港祭り」が始まりました。昨日夜国道走行中チラッと見た限りでは結構な賑わいと周辺道路の混雑あり、二日目の今日は天気良く暑くなりそうだし更に絶好のお祭り日和となりそうです。
昨日に引き続き、遠くでお囃子の笛の音が聞こえてきました。(7時53分)
ちなみに病院周辺は午後から交通規制かかって曳山も通ったりするため、病院は昨日今日と午後休診となってるのでよろしくお願い致します。
暑くなってくると増えてくるのが熱中症がらみの症状ですが、特に心臓疾患のワンちゃんにとってはまさに命取り!で決して油断ならない状態になりうる可能性大です。「肺水腫」を併発すると利尿剤とICUでの管理が場合によって必要となるけど、それでも五分五分程度位の救命率なので要注意です。特に最近は肥満傾向の子も多く、「心臓疾患➕肥満➕熱中症」ときたら相当にもう危険な状態と言えるかと思います。くれぐれも暑い日は外出避けて、エアコン効いた部屋で安静にするよう努めてくださいね。