さていよいよ糖尿病治療の本題ですが、大きく分けて「飲んで血糖値を下げる」方法と「インスリンを注射」する方法があります。まずは飲む治療法の「経口血糖降下剤」のお話です。

 

 

 

ざっくり言うと犬では実はほとんどがインスリン治療で、猫の場合インスリンに加えて飲み薬も一応選択肢の一つとはなります。これは犬の場合ほとんどがインスリンの分泌自体が不足する糖尿病なのに対し、猫の場合は他の病気が原因(甲状腺機能亢進症・慢性膵炎・ステロイドホルモン等薬剤性)の場合も多いとされ必ずしもインスリン注射が必要でない場合もあるからです。

 

当院で使用してる飲み薬は膵臓からインスリン分泌を促して血糖値を下げるものですが、実はなかなか思ったほどうまくはいきません。最初のうちは少し良いかな?程度は反応するけど、段々と飲む量が増えてしまって飲ませる難儀さやコスト面から現実的ではなくなってしまうんです。

原因の一つは膵臓からインスリン分泌を促すだけで、そもそも膵臓のインスリンが減ってしまうと効果が無くなってしまうので反応悪くなったら早期にインスリン注射を考えざるを得ません。過去10数匹の子がこの血糖降下剤で治療したけど、残念ながら満足な結果得られた子は1匹もいなかったので今現在当院では全く処方していません。ネットを見回してもセミナーにおいても経口薬の評価はあまりよろしくないようです。

 

ただインスリン注射に比べて飲み薬は副作用(低血糖)の心配があまり無いので、「注射する事自体が怖い」「インスリンの低血糖が心配」「時間的にも費用的にも注射は難しい」というような場合は最初の入り口としては良いかもしれません。実際当院では過去に飲み薬から始めてインスリン注射に切り替えた方もおられるので、まずはオーナーさんが糖尿病という病気に慣れて上手に付き合っていけるまでの助走期間にはなるような気もします。

 

でもやはり最終的には、以上の点から犬と猫の糖尿病はインスリン注射がメインです。

次回はこちらのお話をしようと思います。