ペット好きオーナーさんなら、ほとんど誰もが「この子をあまり苦しませたくない」と思ってるかと思います。勿論我々もそれは同様ですが、それ以外にもオーナーさんなら「今後治療や手術をどうしようか」「できるだけ美味しい物や好きな物を食べさせてあげたい」「お散歩や美容室も自由に連れて行きたい」「ストレスになる様なエリザベスカラーやお洋服は着せたくない」「通院のための時間や費用面で治療継続は難しい」など色々な悩み事があろうかと思います。
私もこれまで診療上は勿論のこと我が家の多くの子達も見送ってきたし、少なからずスタッフも含めてお気持ちは理解出来るつもりですが、オーナーさんによって事情も考え方も様々で「どうしたら良いのか?」「後々後悔したくない」など、本当に難しい問題と日頃感じています。
我々は「オーナーさんがどうしていきたいか」という答えに辿り着くまでの情報を提供するのも仕事であり、その子の状態を可能な限り調べて病気の程度や治療上必要と思われる事をお伝えし、これからその子と一緒に病気と向き合うためのプランをご提示するのがより重要と考えています。
また「最後亡くなるまでをどのように過ごすか?』というのもオーナーさんによって考え方は色々で、「悔いなく一緒に過ごす」ためにオーナーさんにはよく考えて答えを出してほしいと思っています。
そうやって出した結論に間違いも正解もないと思うし、その子を一番理解して一番想ってるオーナーさんが出した結論、ただ病気の状態が変われば時と共に考え方も変わるかもしれないし、その都度我々はその子の状態に応じてアドバイスを行ないより後悔しない方法を一緒に模索していくつもりです。
「楽しく一緒に過ごせるなら寿命が短くなっても構わない」「好きな事を我慢させてまで生活させたくない」などの気持ち(覚悟)があるのなら、もしそれで多少短命になってしまっても「後悔しなければ」全く問題ないと私は思います。
そういう自分自身は診療上でもプライベートでもこれまで悔いない生活してきたかと問われれば、「穴があったら入りたい」というのは数知れずでお恥ずかしい限りですが、、これはその人の人生観とか死生観といった哲学的部分も関係するかもかもしれないけど、悔いなく毎日その子と一緒に過ごせるよう我々も力の及ぶ限りお手伝いするので一緒に頑張っていきましょう。