前回に引き続き猫伝染性腹膜炎ですが、検査(診断)と治療についてもう少し取り上げてみようと思います。この病気の診断は非常に難しく腹水や胸水出てればほぼ完璧に診断付くけど、それ以外の症状の場合は複数回(1ヶ月後)の検査結果と症状との照らし合わせによって確定診断となります。
⬇︎の方のは当院がお世話になってる検査会社のHPから抜粋ですが、決定的に大事な事はあらゆる検査を行ったとしても、単純な「猫コロナウイルス」と「猫伝染性腹膜炎ウイルス」を区別は出来ないという事です。少し難しい内容ですが、ご興味ある方は是非ともお読みになってみてください。
ちなみに猫コロナウイルスとは、、猫コロナウイルスは、日本でも多くの猫が保有しているウイルスで、多くの場合、病的な症状を起こすことのないウイルスです。しかし、コロナウイルスは、稀に下痢などの消化器症状を起こすことがある他、感染した猫の一部が「猫伝染性腹膜炎」という致死率の高い病気を発症することが知られています。(アニコム損保)
<よくあるご質問>
遺伝子検査により腸コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスを区別できますか?
区別できません。FIPは遺伝子変異を起こしたFCoVが原因であるとされ、遺伝子変異も複数の論文で報告されています。本検査は変異を起こしたFIPVを特異的に検出する検査ではなく、FIPVを含むFCoV全般を検出します。したがって、FCoVとFIPVを厳密には区別できません。通常では検出されることのない組織から検出されるか否かを明らかにする検査です。
検査により将来の発症を予測できますか?
予測できません。血液・腹水・胸水・脳脊髄液・肉芽腫の針穿刺サンプルからFCoVが検出されなかった場合、「FIPを発症している可能性は低い」と言えます。しかし、多頭飼育や外飼の猫では消化管にFCoVが感染していることが多いため、将来的に発症する可能性は否定できません。また、糞便からFCoVが検出された個体が将来FIPを発症するのか否かの予測も困難です。
検出されなかった場合にはFIPを完全に否定できますか?
PCR法は遺伝子を増幅し検出する検査であるため、検出感度に優れています。しかし、感染初期などFCoVの量が少ない場合には検出が困難なことがあります(特にドライタイプ)。最初の検査では血液からFCoVが検出されなかったが数週間後の再検査で検出された経験があります。FIPの疑いが強い場合(特にドライタイプ)、複数回の検査により確定診断につながることがあります。
いかがでしたか?少々理解困難ですよね?
それ位診断するのは難しいという事ですが、結論的に猫伝染性腹膜炎は猫コロナウイルスの突然変異で起こる、つまり理論上は猫コロナウイルスを元々持ってない猫であれば将来的にも発病しないという事になります。なので完全室内飼いで、新たに外部の猫との接触さえなければ、あるいは新しく猫を迎え入れたりしなければ発病はし得ないという意味にもなります。
ただここで問題なのは全く無症状の子の場合、例え検査を行っても検出率(感度)の関係上100%否定は出来ないという事です。下痢等の症状出てれば可能性はあるけど、それでも否定するに足りる検査ではないようです。(検査方法は血液による抗体価検査と、糞便による遺伝子検査です)
少々長くなってしまいました。治療薬についても書こうと思ったけど、ここからはほとんどネットからの情報なので検索頂ければ大体の事はお分かりなるかと思います。ただネット上ではやはり「ムティアン」使用例が溢れており、また私自身も伝え聞く内容からその効果に関しては肯定的ですが、前回触れたように猫の難治性疾患(伝染性腹膜炎)中国産の特許侵害コピー薬という部分と、薬である以上有効期限過ぎると廃棄せざるを得ないという問題もあってなかなか手が出ないのが現実。東北でただ1軒取り扱いというのも、おそらく多くの病院がそういう事で二の足踏んでるかと想像します。(⬇︎以下ご参考までに)
コピー商品であることを知った上で輸入や販売をすると,商標権者に対して損害賠償を行わなければならない上に,10年以下の懲役,1000万円以下の罰金,その両方の刑罰が科されます。
偽ブランド品だと知っていても知らなかったとしても、転売を目的とせず、あくまで自分で使うためであれば、購入しただけで逮捕されることはありません。 偽物だと知りながら「販売目的」で所持していた場合には、商標権侵害とみなす行為として、商標法違反に問われます(商標法第37条第6号)。