いよいよ今回は実質的な治療である、「内服薬」と「皮下補液」についてです。ただ近々オンライン上で「有望な新規治療をアップデート」するらしいので、ひょっとしたら更に又追加で取り上げるかもしれません。
まず内服薬は降圧剤・リン吸着薬・腎性貧血治療薬・ステロイド・食欲増進剤などですが、特に重要で一般的なのがACE阻害薬と呼ばれる降圧剤で、通常ステージ2以降からが目安となるお薬です。
高血圧は腎臓の働きを低下させるため塩分制限と降圧剤は非常に重要で、通常このお薬は心臓の治療薬としても当院で処方してるものだけど血管拡張作用と降圧作用があるため、人の方では今現在これが慢性腎臓病の第一選択薬と言われる程大切とされてる薬になります。
当院では3種類の降圧剤(元々は犬や猫の心臓病治療薬として)を使ってるけど、その血管拡張作用による降圧作用で腎臓病治療薬としても処方しています。腎臓の治療なのに心臓のお薬?と思われるかもしれないけど、その位どちらの病気も高血圧がいかに厄介で病気に深くか関わってるかという事になります。
次は「リン吸着剤」です。これは以前にも腎臓とリンお話ししたように、リンは体に必要な成分であると同時に腎臓や心臓等への影響も大きく、出来るだけ少ない方が健康で長生き出来るとも言われてます。食事療法でもある程度は抑えられるけど、慢性腎臓病の場合は更に一段低めに維持するのが望ましいという理由から必須となっています。
⬇︎ 猫の場合は更に東レから出てる「ラプロス」という製品もお勧めで、腎臓の血管を守って血流を良くして栄養と酸素を確保したり、炎症を抑えて線維化を防ぐことで腎臓病の進行を抑える薬とされてます。ざっくり言うと他の製品が血流を良くして血圧を下げるだけなのに対して、 この製品は更に炎症や血栓を防ぐ事で臨床症状を改善させるとされてます。当院でも数例の子が、これを飲み始めてから明らかに改善した子もいるので出来るだけ併用して欲しいお薬です。
残りの腎性貧血治療薬とステロイドや食欲増進剤は、それぞれの症状に応じての対処療法となるのでここでは割愛したいと思います。又長くなってしまったので、最後の皮下補液については次回アップ予定とします。