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こうほく動物病院

院長ブログ

腎臓病のネコ用新薬

前回取り上げた「慢性腎臓病」、特に猫の場合は何らかの病気をきっかけに始まったり、あるいは単に歳とれば取るほど多くなったりで、最終的な死亡原因としては以前に比べて非常に多く感じます。

理由の一つには長寿になればなるほど、やはりそれに伴って腎臓病も増えるというのが大きいのかなと思います。

 

なにしろ肝臓と違って再生能力ほとんど無く、年々腎臓の細胞は機能的にどんどん落ち込んでいくので、いかに負担かけないよう食事療法したり内服薬を毎日頑張るかが重要となってきます。

当院でも今現在犬猫合わせて数十頭の子達が治療中なので、いかに珍しくはない病気かがお分かりなるかと思います。

 

オーナーさんが最初に気がつくサインは、「なんか最近水飲むのが多いな」とか「オシッコの回数とか量が増えたな」という症状なので、もしこれら気になる感じがあったら早めに受診なさって下さいね。

 

さて今回はその腎臓病に関して、近い将来(再来年)画期的なネコ用新薬が発売予定という事で取り上げてみます。少し難しい内容かも知れないけど、特に猫好きな方ならサクッと斜め読みでも構わないのでお読みなってみてください。

 

 

 

<独自>タンパク質「AIM」を使った腎臓病のネコ用新薬が完成、令和9年春にも実用化へ

腎臓病のネコ用新薬が完成し、早期の実用化が期待されている
腎臓病のネコ用新薬が完成し、早期の実用化が期待されている 

ネコの「宿命の病」ともいわれる腎臓病に侵されたネコのための新薬が完成し、来月にも臨床試験が始まる。来春には農林水産省に承認申請する計画で、早ければ令和9年春ごろの実用化を目指す意向だ。研究を進める一般社団法人「AIM医学研究所」(略称IAM、東京都)の宮﨑徹所長(62)=免疫学=は「愛猫家の応援に恩返しするため、できるだけ早く、安価で提供したい」と話している。

 

ネコは5歳ごろから腎機能に異常が出始め、腎臓病で死ぬことが多い。宮﨑所長はスイス・バーゼル免疫学研究所(当時)の主任研究員だった1999年、多くの動物の血液中に存在し、体内の老廃物(ごみ)を掃除するタンパク質「AIM」を発見し、論文で発表。東京大大学院医学系研究科教授だった平成28年、ネコはAIMが先天的に機能しないため、腎臓内にごみが蓄積し、腎臓病になりやすいことを明らかにした。

 

 

 

研究は愛猫家らに注目され、半年で3億円近い寄付が寄せられた。期待と責任の大きさを痛感した宮﨑所長は薬の開発を加速させるため、令和4年に東大を辞めてIAMを設立。AIMを使ったネコ薬とヒト薬の開発を進めるとともに、5年に製薬ベンチャー「IAM CAT」を設立して治験に必要な資金も調達した。ネコ薬は凍結乾燥させたAIMを投与する計画で、台湾に製造拠点も確保したという。

 

腎臓病のネコ用新薬を開発したAIM医学研究所の宮﨑徹所長=東京都新宿区

腎臓病のネコ用新薬を開発したAIM医学研究所の宮﨑徹所長=東京都新宿区

 

来月には治験を始めて年内に結果をまとめ、薬剤の安定性試験の結果などとともに、来春には農水省に承認申請する計画という。これまでの研究から、病が一定程度進行したネコにも効果が期待できる

 

 

 

いかがでしたでしょうか? 

要約すると体内の老廃物が腎臓に負担かけて悪化させるので、その老廃物に引っ付いて食べてくれるタンパク質を投与して腎臓を保護しましょうという感じのお薬になりますね。

 

ちょっと気になったのは、どうして製造拠点が台湾なんでしょうか? コスト面あるいは日本で受け入れてくれる薬品メーカーなかったんでしょうか? 個人的にはなんか少し残念な気もします。

 

さて当院で治療中のオーナーさんならお分かりでしょうが、治療薬としては「血管拡張薬」や過剰なリン(老廃物)を排出させる内服薬が主体だけど、まさに腎臓にとって老廃物は大敵、そしていかに腎臓への血流良くして細胞を保護するかがカギとなってきます。

 

ちなみにそういった理由から食事療法も本来非常に重要になるんだけど、猫の場合好き嫌いの問題とか段々食欲落ちて体重も落ちて来た場合、それが腎臓にとって良いかどうかよりも食べて体重維持の方がより大切と思われるので、当院の場合最終的には好きな物をあげてとにかく食べさせる様にとアドバイスしています。