以前にも取り上げたテーマです。
これまでのは全く無症状で単に血液検査で「陽性」が確認されたというワンちゃんの話しでしたが、今回フィラリアによると思われるワンちゃんが来院されたので、私自身の知識の整理も兼ねて、アップしてみようと思います。
フィラリア症は、フィラリアに感染してるワンちゃんを蚊が刺して、その蚊が新たに他のワンちゃんを刺す事によって感染します。つまり、必ず一旦「蚊の体内」を通らないとこの感染サイクルは成立しません。いくら蚊に刺されても、周りにフィラリアのワンちゃん居なければ感染しないわけです。
一説には蚊の行動半径は数百メートルとか言われますので、いくら刺され放題でも周りにワンちゃん居なければ理論上感染しない筈です。
⬇︎ フィラリアにはオスとメスがいて、血管内にミクロフィラリアという小虫が見られる事も多いです。これを蚊が吸って他のワンちゃんに刺すと移るわけです。(再生時間少し要します)
さてそのフィラリアですが長さ数十センチのそうめんの様な虫が、心臓の右心室という所から肺に向かう血管(肺動脈)の中に巣食う寄生中なんですが、基本的にはある特定の症状が出ないとフィラリア手術は上手くいきません。
昔は開胸して直接心臓から取り出すオペも一部で行われていましたが、設備も技術もスタッフも必要とするため、我々一般開業医の場合は、首の頸静脈から心臓に向けて器具を挿入して虫体を取り出す方法で行ってました。ただしこの方法は、ある特定の症状が発現しないと虫体が上手く取れません。
主症状は咳と心雑音と、紅茶色の様な血尿っぽいオシッコ(血色素尿)です。これらが揃わないと思った様に取れないです。これまでの過去最高は、たしか猟犬種だったと思いますが40数匹取れました。
ほんの10数年前まで、当院では年間10数件ものフィラリアの手術を行なってましたが、最近は小型犬が増えてほぼ100%室内飼いなのと、フィラリア症が認知されてきて多くのオーナーさんが投薬なさってるからだと思いますが、ここ何年も行っていません。
ちなみに、、猫にも感染が確認されています。
ただしその診断は非常に難しく(猫用診断キットがない)、ほんの数匹の感染でも発症して死亡すると言われてますので(体の大きさにもよると思われます)、まだ当院ではあまりポピュラーではありませんが、猫ちゃんオーナーさん達も是非予防薬をご検討なさってみてください。(当院では背中部分に滴下するタイプを使っています)
なお予防期間はワンちゃん猫ちゃんともに、蚊の発生1か月後からスタートして、蚊が居なくなって1か月に終了となりますので、地域差がけっこう絡んできますね。