少し前から、こちら⬇︎の有料オンラインセミナーを受講中です。
さすが有料だけあって受講科目も多く内容は充実。受講期間は来春までだけど、どんどん配信期日過ぎた分は視聴出来なくなるので意外と大変です。なにしろこれ以外にもオンラインセミナーはあるので、気を抜いてると受講料も勿体無い事になります。私は既に一回、確か1万円近くのセミナーをうっかり見逃してしまいました。3日前と前日に案内来るのみ(多くのメールに埋もれてたりします)で見逃し配信はありません。考えてみると先生だって人間、急に具合悪くなったり入院したり急用出来たりもあるやもしれません。せめて数日間の見逃し配信をして欲しいなと思います(単なる愚痴です)。
⬇︎ この下にまだまだ講座の続きがあります。いかに我々獣医師がいわゆる『何でも屋』なのかがお分かりなるかと思います。ごくごくたまにでしたが、、「人間の方だとこうしますよね?」と仰る(要求される)方が過去おりましたが、勿論各先生各病院それぞれ得意不得意はあるでしょうが、1人の獣医師が全ての科で人間の病院並み医療を行うのがいかに困難な事かご理解頂ければ幸いです。
⬇︎ 既に幾つも講習は受けてるけど、今回は皆さんの関心もありそうな、そして高齢の子が増えてる事に起因する比較的多い症状『変形性関節症』と『変形性脊椎症』についてのお話です。大型犬と小型犬ではその発生率が全く違うというグラフですが、小型犬でもそして猫ちゃんでも高齢になればなるほど(概ね13歳以上)レントゲン上の異常が多いというお話ありました。
⬇︎ ここに出てる症状は必ずしも整形外科を疑わせるとも思えないけど、意外と多岐に渡る症状が多いという意味かと思います。
⬇︎ 高齢の子に多い『変形性脊椎症』のレントゲン写真です。黒丸の中の脊椎と脊椎の隙間が白っぽくなってるのが分かるかと思います。特に左から2番目と4番目は完全に石灰化してくっついています(正面撮影のと2枚で確認)。過去1番酷かった子は腰椎全部(7個)白っぽくなってしまってて、石灰化で動きも非常にぎこちない子がおりました。
⬇︎ 『変形性関節症』の写真です。上3枚が股関節で1番下が膝の写真ですが、一番上は正常なもので下3枚が変形性関節症の写真です。黒い輪の中の関節が下3枚は白っぽくなってるのが分かるかと思います。一般的には肩や股関節より筋肉量少なく、体重の負担が大きい肘や膝・足首に多いと言われてます。
こうなってしまうと、鎮痛剤や各種サプリメント、および体重コントロールで可能な限り負担を減らしてあげるしか方法はありません。出来れば症状出る前にレントゲン検査を行い、早期に対策していくのがベストかと思います。
さて、少しだけ外科手術のお話です。
今から10年以上前は骨折やフィラリアの手術を、当院では年間最低でも10数件行っておりました。そして時代とともに年々小型犬が主流となって犬も猫も放し飼いするオーナーさんは少なくなり(猫は完全室内飼い)、予防薬や予防注射も今や当然のようになった結果、フィラリアの手術はここ最近全く皆無、骨折も小型犬の前脚(特に前腕)の手術がほとんどとなりました。
昔ある先生から、「フィラリアは皆んなが予防すればかからない病気、骨折は放し飼いしなければ無い手術。どちらも無いのは都会的な病院になったという事」と言われたけど、今や小型犬の前脚折れる原因の多くはソファやベッドから飛び降りたり、抱っこしてて飛び降りてしまったり、あるいは廊下を走り回って滑って骨折(ウチの亡くなったトイプードルの亀裂骨折)など、多分皆さんが意外に思われるような事が結構原因となっています。
それでも脚一本折れてそこで衝撃を吸収してくれてれば命も救われるけど、中には信じ難いほどの全身的ダメージを負うケースも少なくありません。どうかくれぐれも外出時はリードを短くし、また猫ちゃんの場合は交通事故のみならず最近はダニによる人畜共通伝染病による死亡例も報告されてるので外出時の逃亡などくれぐれもご注意なさってください。
⬇︎ 交通事故による猫の左右大腿骨折の手術写真。右脚はチタンプレートで固定、左脚は骨の中にステンレス製のピンを打ち込んで固定しています。通常ほとんどは取り外しせずに埋め込んでいます。
⬇︎ こちらも猫の交通事故による骨盤骨折と右大腿骨折(バラバラの粉砕骨折)。右の骨盤が外れて(仙腸関節離開)ズレているためスクリュー固定し、左骨盤と右大腿部はチタンプレートでガッチリと固定しています(粉砕されてる骨片を固定するためネジの一部はアサッテ方向向いてます)。多分時間も相当かかってたはずで(かなり昔の手術でうろ覚え)、後にも先にも私はこれ以上の骨折手術をした事ないと思います。
⬇︎ 最近多い小型犬の前脚の場合は、この様にステンレスのピンと各種外固定の併用によって固定しています。
⬇︎ 必要に応じてチタンプレートで固定します。
※ 骨折の手術に関しては、『獣医師界のブラックジャック』と昔異名をとった先生や、大阪や九州の超有名先生など個性的先生も多く、それぞれ独特のお考えと技術をお持ちです(大御所御三家)。特に前肢の手術においては、ある先生はピンニング(ピンを打ち込む)と外固定の併用、ある先生は寸分の狂いなくキッチリと計算してプレート、ある先生は外科的侵襲(生体を傷付ける事)を嫌って特殊なやり方の外固定、と実に皆さん様々な方法を得意としています。
結局は治るかどうかの結果論が全てでしょうけど、ただそこに至る過程で時間もコストも動物の不快感も結構違うはずなので、そこら辺も十分に考えオーナーさんと相談してからの手術となるかと思います。
なお前肢の手術は他の部分と比べて割とトラブル出やすい所(筋肉量少なく血行も悪いため癒合遅延・癒合不全がおきやすい)なので、オーナーさんもしっかりと術後管理に気をつけてくださいね。
⬇︎ 秋田出身のユーチューバーさん。東京の夜桜も綺麗ですね。