今日もオンラインセミナー話題です。以前の肥満細胞種セミナー内容が濃過ぎて時間内に全部終わらなかったという事で、今回講師の先生が引き続き行ってくれました。非常に興味深く尚且つ実践に則した濃い内容でした。

 

 

 

 

⬆︎ 皆さんよくステージ◯◯という事を聞いた事お有りかと思うけど、腫瘍の分類もその悪性度に応じてグレード評価しています。勿論我々一般開業獣医師が行うものではなく、病理検査の専門獣医師がキチンとした手順でグレード評価をしてくれています。『細胞診』と言って針を2回ほど刺して作成したスライドガラスを見てもらうのと、術後摘出した臓器を丸ごと送って得た『病理組織検査』とは『得られる情報量』が倍以上違うらしく、原則的には病理検査で評価するとなっています。

 

ちなみに肥満細胞種に限らず『細胞診』では結構な頻度で、「良性と悪性のボーダーラインなので、改めて病理組織検査をご検討ください」との回答多く、手術を前向きに検討されているなら術後病理検査で良いかと私は思ってましたが、講師の先生は「術前の細胞診は勿論のこと術後病理検査も当然です。手術の際に皮膚を縫うかどうか飼い主さんに聞いたりはしませんよね?当然縫いますよね?それと同じく病理検査は今後のためにも重要なので、私の所では検査料金を手術料金に含めての請求です」という様な事も仰ってて少々びっくりしました。腫瘍専門医でもある病院ならばこその気もするのですが、色々考えさせられるお話ではありました。

 

 

⬆︎ 腫瘍を摘出する際、その腫瘍からどの位の距離取って摘出するかという内容です。以前には一般的に3センチと言われてたけど、最新の報告では腫瘍の大きさによって切除範囲も変更(2センチ)可能となっています。現実的に動物の場合小型犬や猫では腫瘍発生場所と腫瘍サイズによってはマージン確保が難しいケースあって、せいぜい1センチ程度も確保出来るかどうかという時が有ります。

 

 

⬇︎ そこでより有効な手段として化学療法(抗がん剤)が行われる事となり、ここでは数年前から盛んに行われる様になってきた分子標的薬の一つ「トセラニブ」についてのお話しです。

これは数年前に動物専用薬として発売された化学療法薬で、基本的には「肥満細胞種」に使用される薬だけど、それ以外にも様々な各種固形物のガンに対しても有効性が期待出来るとされています。各種腺癌や頭頸部腫瘍は場所的に安全マージン確保が厳しい所でもあり、そういった腫瘍にも期待出来るというのは心強い感じもします。

 

当院でも今現在投薬中の子がおりますが今のところ副作用もなく、又動物専用薬という安心感もあって今後期待出来そうなお薬です。ただ相当に人気あるのか一時欠品状態となったり、値段(納入価)がじわじわと値上がりしている様です。

 

⬇︎ 抗がん剤治療と聞くと、皆さんどうしても副作用が心配になるかと思います。先生曰く、「抗がん剤治療に副作用は付き物で、それを恐れるあまり薬用量少なめにしたり投薬回数減らしたりすれば結局有効性も期待出来ない」。

当たり前と言えば当たり前なんだけど、少ないと効果に必要な有効血中濃度に達しておらず、単に毒物を与えてるだけの結果に過ぎないという様なニュアンスも以前お話しされておりました。

 

現実的にオーナーさんから副作用の報告受けると私は中止しちゃう方なんだけど、そこでどこまで踏みとどまって抗がん剤を続けるかはオーナーさんのお考えなどもあってなかなか難しいところです。

 

⬇︎ 少しびっくりする位色素抜けて白っぽくなる子もいるようです。