猫の避妊手術と乳がんの関係性
2024年1月22日
避妊手術の乳がん予防効果については皆さん関心あるようで、知人からも質問受けたのでもう少し取り上げてみようと思います。基本的には犬も同様の効果は期待出来ると思うけど、特に猫の場合の乳腺腫瘍は悪性度も高く、データ上も揃っているので今回はあくまで猫の予防効果についてです。
⬇︎ 猫の避妊手術をいつ実施するかによって、将来起こり得る乳腺腫瘍をどの程度予防出来るかの表です。ご覧のように生後半年以内は相当な予防効果あるけど、ただし不妊手術は一般的には6ヶ月齢以上で行うのが通例です。
これは身体の正常な発育は成長ホルモンと性ホルモンのバランスで成り立ってるので、ある程度成長してからの方が望ましいとされてるためです。ただ1歳過ぎるとガクッと予防効果は落ちて、2歳過ぎると全く効果無しというデータが報告されています。こういう理由から当院では、早過ぎず遅過ぎずの生後半年を目安にお勧めしています。
犬の場合は同じく生後半年で行うのか第一回目の生理(発情)終わってから行うのか悩むところですが、当院の場合長らく第一回目の生理終わってからとお話ししてたのを、あまり大きくなったり太ったりしても手術やりづらいというのと乳腺腫瘍予防効果を期待して今現在は半年過ぎた時点でもお受けするようにシフトしました。
ちなみに人間の方では出産経験ある方が乳がんになる確率は低くなるけど、これは妊娠中のホルモンの影響によるもので犬や猫でもほぼ同様と考えられています。
人間は乳がん予防のために妊娠したり避妊手術まで行う方はいないでしょうが、犬や猫では避妊手術は一般的ですし、なにより乳がんや子宮蓄膿症という命に関わる病気予防になるなら早期の避妊手術が理想的かと思われます。