今回の話題は、今や年中来院数も多くなった「外耳炎」についてです。

 

外耳炎については以前のブログ 耳アカの検査も参照して頂くとして、問題はニッチもサッチもいかない非常に治りにくい頑固な外耳炎をどうするかです。

持病や年齢の問題がある程度クリアされるのであれば、最終手段として私は外科的アプローチをお勧めしています。

 

手術は「全耳道切除術」と「垂直耳道切除術」の二通りあるけど、当院では比較的合併症少なくアプローチもしやすい後者の「垂直耳道切除術」で対応しています。

通称「V字切開術」と呼んでるけど、これは縦に下りてく耳穴の外側の皮膚をV字的に切除し、術後は人間と同じ様に横からそのまま耳穴が見えるようにする方法です。

 

私は更にデコボコの肥大化した軟骨も出来るだけ切除してフラットにするけど、こうする事によって耳の通気性は大幅に改善して治癒しやすくなります。

完全には治らない子でも術後は直接耳の状態が目視出来るので、場合によっては通院せずともオーナーさんが自宅でケアしやすくなったりの利点もあります。

 

 

 

⬇︎ 慢性的な炎症で軟骨が石灰化して肥大し、終いには耳穴がほとんど塞がってしまいました(左上写真)。こうなるともう通常の内科治療にはあまり反応せず一進一退、動物は非常に強い痒みや痛みを伴ったりするので外科的に解消してあげる他ない状態となってしまいます。

右上は術後写真ですが、器械(鉗子)の先端部分埋まってるのが新しく見える様になった耳穴(水平耳道)です。

手術は電気メスを用いてV字切開した皮下の余分な脂肪を切り取り、デコボコの軟骨も出来るだけ切除して生理食塩水で洗浄後ナイロン糸で縫合して終わりです。この子は切開から縫合まで約50分かかりました。