今回も寄生虫のお話しです。
⬇︎ 沢山見えるのがコクシジウムと言って、小腸内に寄生する小さな原虫のオーシスト(卵)です。真ん中に見える少し大きいのが、糞便検査では割とよく見られる「回虫」です。
回虫は親猫が持ってると子猫にも感染する事が多く、また同居犬や人間にも糞便介して感染するので要注意な寄生虫だけど比較的容易に駆除しやすいのが特徴です。ただしネズミを捕食して移ったりもするので、やはりここでも外出猫や野良ちゃん猫は人畜共通感染症として注意が必要ですね。
さて今回テーマの猫の「コクシジウム」。
基本的には種特異性があるため同居犬や人間には感染せず、また成猫は免疫力に問題なければ無症状多いけど、子猫に感染すると「嘔吐・下痢・血便・食欲不振からくる脱水」などで死亡する可能性があります。
今回写真のように回虫と一緒に見られる事も多く、この様な場合当院ではまず最初に駆除しやすい回虫からアプローチし、安全面から少し時間空けて改めてコクシジウムの駆除を行っています。
他の腸内寄生虫と違ってガツンと効く駆虫薬はない(最近犬用の新薬で効果有りの報告例はあります)ので、1〜2週間継続して内服行って駆除していくけど、当院では過去に3週間程度飲んでも落ちなかった子もいる位少し厄介な寄生虫です。落ちない(落とせない)理由の一つは発見時の大きさや体重があまりに少なく(体重数百g)、どうしても駆虫薬の安全上から少なめ少なめと調剤してるからと思います。
ただし下痢等なく食欲あって順調に発育してくれれば、生後数ヶ月の検便で見つからなくなった子もいるし、又見つかってもそれから駆除行えばいいので問題にならないかと思います。唯一他にも猫ちゃんいなければのお話ではありますが、、。
なお糞便検査は前回 猫胃虫もお話ししたように、浮遊法(集中法)という小指大程度の便から詳しく調べる方法じゃないと見つからない事も多いので、子猫や短時間であっても外出する猫の場合は定期的な検査を是非お勧め致します。特に症状無ければ、出来るだけ新鮮な便をビニール袋などに入れてお持ち頂ければ検査は可能です。