あくまで一般的なお話として、我々地方の開業獣医師はいわゆる『何でも屋』です。

 

大都市であれば大学附属動物病院は勿論、通常の動物病院でも一部『内科消化器」『皮膚科(アレルギー等)』『歯科』『眼科』『外科』『整形外科』『腫瘍科』『循環器(心臓等)』『泌尿器(腎臓や膀胱結石等)』『エキゾチックアニマル(爬虫類等)専門』『うさぎ専門』『小鳥専門』『行動学専門』などなど、非常に多岐にわたってそれぞれ得意とする専門医が診療にあたっています。

 

残念ながら一地方病院、しかも私含めて一人で『診察から手術まで全て』をこなしてる先生の場合当然限界はあるので、どうしても人間の方と比較しても「広く浅く」にならざるを得ません。今日のテーマは『猫の問題行動』についてですが、この分野は結構複雑でそれぞれ動物の性格や取り巻く環境等様々絡んでくる上、要する時間も相当かかる診療分野なためどうしても日常業務として難しい部分あります。ですが、、最近猫のオーナーさんも格段に増えてきて相談受ける機会増えてきたり、またある種の病気絡みで否応なく対応せざるを得ない状況が多くなってきました。おそらくこれから益々、特にアパートやマンション住まいの多い都会の猫オーナーさんには注目される診療科になるような気がします。

 

 

 

本日ブログで取り上げるオンラインセミナー『猫の行動診療科』の講師の先生は、この分野ではかなり有名な先生で非常にトークも面白く分かりやすい内容でした。今回はトイレについてのみですが、他にも『マーキング』『爪研ぎ』『攻撃行動(新しく猫を迎え入れる時)』『認知症』、問題行動ではないけど『猫の特徴と行動』『お薬の飲ませ方』などが今回のセミナー内容でした。

 

 

⬇︎ トイレ以外で排泄してしまう場合まずはそれが何らかの身体的病気から来るのか、あるいはストレスやメンタル的なものから来るのか判断する必要あります。飲水量増えて排泄回数も増え、結果としてトイレ掃除が追いつかないため嫌がってお漏らしやマーキングの様な行動をとる可能性もあります。そのためには最低限必要な血液検査と尿検査は重要となります。

⬇︎ ストレス(メンタル)的な問題の場合、以下の様な原因が考えられます。

⬇︎ 排泄行動なのかスプレー行動かで、考え方や対処法も若干違います。

⬇︎一般的に猫は大きいトイレを好み、かつ綺麗好きで自分だけのトイレも好きです。なので原則的には『猫の数+1』のトイレ数が理想と言われてます。多頭飼育のオーナーさんも最近は多いけど、なかなかコレって現実的に厳しい気もしますが皆さんいかがなんでしょうか? なお最近ホームセンター等でもカバー付きのトイレを見かけるけど、小さい物だと臭いが篭りやすくなるため猫は嫌がる傾向ある様です。結論として猫の理想トイレは、昔幼稚園や小学校で見かけた『大きな砂場』ですね。

⬇︎ やはり猫は砂場にある様な昔ながらの細いやつがお好みです。ちなみに、高齢で爪のトラブルで来た猫の一部は炎症部位にこの細かい砂が食い込んで更に悪化した様な子も過去いたので、私は紙製の大きなタイプに変更してもらっています。これなら包帯巻かなくても食い込まないし、くっついてもすぐに剥がれるからお勧めです。

⬇︎どれも我々にも当て嵌まる項目ではないでしょうか? 

※ リビングや寝室からあまり離れてないトイレに行きたい。

※ あまり騒がしくないトイレに行きたい(かと言って無音状態も自分は嫌)。

※ 夜中に真っ暗な廊下は歩きたくない(せめて豆電球程度でも明るさが欲しい)。

猫は意外と(?)デリケートで、メンタル的にやや神経質でこだわり強い傾向がある様です。

⬇︎ 常に綺麗なトイレである事は言うまでもないけど、特に多頭飼育の場合の最大の敵はおそらく『ストレス』です。最近多くなってきてる『多頭飼育』は猫同士の力関係(上下関係)が働く分問題は更に複雑です。「トイレ行きたいけど途中にいつもジャイアン陣取ってるから行きたくないなあ〜(のび太くん)」面白い例えですよね。それにしても猫社会も本当に厳しいもんです。

⬇︎ あれ、前にも聞いたようなお話しです。我々も、お祭り会場のトイレよりは自宅やホテルの方が、、ですよね。

⬇︎ 以前のパンドラの箱とは別の講習会写真ですが、はっきりした原因は不明(おそらくストレス)の『特発性膀胱炎』でもトイレについて詳しくお話ししましたよね。それだけ猫にとってトイレ問題は大きいという意味になります。

⬇︎ 我が家の猫トイレ。2匹なので一時期2つ設置した事もあったけど、結局一個でも常に綺麗にしておけば問題なさそうと、もう何年もこのままの状況です。猫の性格や猫同士の関係もあるかと思います。

 

⬇︎意外と簡単に設置出来る理想的トイレは、なんと『衣装ケース!』。猫砂は大量に必要になるけど広いし深さあって掘る事できるし、まさに砂場の様な感じで猫にとっては快適の様です。(楽しそうに1〜2分も遊んでるらしいです。)