以前にも2度ほどアップしてる『眼科診療』ですが、今回は「緑内障」についてのお話です。

眼科診療

眼科診療

 

 

初めにもう何度もお話してる事ですが最近新患で当院に来られたオーナーさんも多いので改めてお話ししておくと、この院長ブログは必ずしも診療に関わる内容だけじゃなく、日々日常の中で色々感じた事や体験した事などを自由気ままにアップしています。診療に関わるものでもなるべく専門用語を使わず砕けた表現で読みやすい様にと思っており、それ故どちらかと言うとほとんど趣味のブログに近いかもしれません。どうか今後ともお付き合いよろしくお願いいたします

 

 

さてまず「緑内障とは何か?」ですが、一言で言うなら「視野が狭くなる(見えにくくなる)病気」です。詳しくはずっと下の方にロート製薬さんのHPから抜粋したものを貼ってありますのでご参照いただくとして、ここでは緑内障の診断の一つとして重要な「眼圧の測定」について、当院の測定器やそのやり方など交えながら触れてみようと思います。

 

緑内障の診断には幾つかあり原因も必ずしも眼圧の高さだけが要因でなく、当院では使用していませんが「ステロイドの点眼」でも人間の方では起こり得るようです。ただはっきりしている事は眼圧高い状態が続くとやがて視神経が障害受けて緑内障に至るという事です。視野検査のように動物は自分で見える範囲を意思表示出来ないので、1番確実で手っ取り早い方法として動物の場合は「眼圧測定」がもっともポピュラーかと思います。

 

以前当院に有った眼圧測定器は大きくて操作方法が難しいものでしたが、数年前に買い替えたこの動物専用の測定器は非常に軽く取り扱いも簡単でとても操作し易い感じです。準備と後片付けで時間はかかるものの検査時間そのものは概ね数分程度です。初めに目薬や生理食塩水で眼の表面を洗い、それから測定器を当てて最後に消炎剤や抗生剤を点眼して終了となります。

 

⬇︎ コレだいぶ前自分で試してみたけど測定器から飛び出してくる先が丸い棒状の物は全く痛みもなく、通常動物の場合は点眼麻酔すら全く必要としません。問題はむしろ臆病で恐怖心強い子だと、保定(動かない様におさえる事)されて目の前に何か迫って来るという心理的問題から検査困難な事があり得る事です。測定器は目に対して水平に行う必要があり、動物の顔や測定器の角度が上向きでも下向きでもダメで、やり方悪いと結構何度もエラー表示ばかり出てしまいます。またあまりグッと保定しすぎると眼圧に影響与える可能性(測定値が高く出る)もあり、場合によっては全身麻酔での検査も考えなくてはいけないかもしれません。

 

⬇︎こちらが動物専用の眼圧測定器「トノベット」です。衛生上の問題もあり、目に当たる先端部分の「プローブ」と呼ばれる部分は一回ごとに交換となります。正常眼圧は概ね表のようになっていますが、明らかなボーダーライン上の場合は眼圧下げる様な目薬を点眼しながら定期的な検査が望ましいかと思います。

 

icare - tonometer VET - トノベット手持眼圧計 TV01 -

icare - tonometer VET - ご紹介ビデオ

トノベット手持眼圧計の特長

トノベット手持眼圧計の特長

キャリブレーション不要
トノベット本体に測定用プローブを挿入し電源を入れると自動的に
測定モードになります。面倒なキャリブレーションは不要です。
点眼麻酔不要
清潔なディスポーザブルプローブが角膜にソフトに接触します。
点眼麻酔の必要もなく、動物に優しい検査です。
簡単操作、短時間測定
測定は簡単なボタン操作のみ。わずか数秒で測定は終了です。
検者に影響されにくい、信頼性の高いデータが得られます。

 

  1. 『緑内障とは』

緑内障は、決してめずらしい病気ではありません。日本緑内障学会の調査(通称:多治見スタディ)によると、40代以上の5%、日本人の20人に1人が緑内障と推計されています。
名前が似ている目の病気に「白内障」があります。加齢に伴って有病率が上がるところは共通していますが、まったく別の病気です。白内障は目の水晶体という部分に濁りが生じて、目がかすんだり光をまぶしく感じたりする病気です。緑内障は視神経の減少により起こる病気です。
また、日本人では白内障から失明に至ることはまれですが、緑内障は失明原因のワースト1位です。

緑内障の仕組みと主な症状

『緑内障の仕組みと主な症状』

緑内障の仕組み

わたしたちがものを見るときは、網膜に映った像が視神経を通じて脳に届くことで「見えた」と認識します。視神経は健康な目では約100万本もの神経線維が束になってできています。

 

緑内障の主な症状

進行するにつれ、見えない範囲がどんどん拡大し視野が狭くなります。
見えないといっても黒く塗りつぶされたように見えるわけではなく、輪郭がはっきりしない、かすんでいるような見え方です。

  • 右目と左目ともに緑内障があり、違う部分に視野欠損がみられる場合の見え方(イメージ)

    右目だけで見たとき(一部右側の風景がぼやけて見えています。)
    左目だけで見たとき(左側のいるはずの子どもが見えません。)
    両目で見たとき(本来の風景)

両目では子どもの姿も風景も見えていますが、緑内障の症状がある右目または左目(それぞれ違う部分の視野が欠けている場合)だけで見ると、それぞれ違った見え方になっています。一方の目が見えない分をカバーしたり、脳が欠けている部分を補正して自然な見え方を作り上げたりするためです。

 

緑内障が怖いのは、初期や中期のうちは見えていないことに気づきにくく、自覚がないまま進行してしまうからです。見えない部分があることに気づきにくい理由がいくつかあります。

  1. 5年から30年かけてゆっくりと症状が進行するから
  2. 一方の目の見えていない部分を、もう一方の目が補うから
  3. 見えていない部分を脳が補正するから

 

緑内障で一度欠けてしまった視野は元には戻りません。気づいた時には視野が大きく欠けているということが、まれではないのです。そうなると視力が低下し、失明に至ってしまうこともあります。

 

『緑内障の主な原因』

緑内障の原因は、まだよく分かっていません。高齢になるほど患者数が増えることから、加齢が危険因子の1つであると考えられています。また、緑内障は眼圧の高い人に起こりやすい病気であることが知られています。眼圧とは、「目の中の圧力」で「目の硬さ」のことをいいます。

  • 眼圧について

    眼圧について

目の中には、「房水」という液体が循環しています。「房水」は「毛様体」というところで作られ、「隅角」というところから出ていきます。作られた量と同じ量が出ていくことで、眼圧は一定に保たれています。眼圧の正常範囲は10~20mmHgです。

  • 房水について

    房水について

房水の作られる量が増えたり流れ出る量が減ったりすると、目の中に溜まって眼圧が上昇します。その結果、視神経が圧迫されて傷つき、減少してしまうのです。

ほかに、緑内障の危険因子としては下記が挙げられています。

原因
  • 高血圧、糖尿病、偏頭痛、睡眠時無呼吸症候群
  • 近視
  • 遺伝
  • 外傷
  • ほかの目の病気や手術歴、その治療薬

眼圧は交感神経が優位な状態で上がる傾向がみられます。一方、全身の血圧が低いと目に届く血液の量が少ないために、視神経に悪影響が出やすいと考えられます。こうしたことから、長身でやせ型、完璧主義、低血圧の人が発症しやすいともいわれています。(ロート製薬様HP)

 

 

緑内障の原因

緑内障の確実な原因はわかっていません。目の硬さである「眼圧」が高い状態が続くと、目の奥についている視神経が障害され緑内障となります。眼圧は10~20mmHgが正常範囲とされていますので、20mmHgを大きく超えるような眼圧が続くと、視神経が障害される可能性が高くなります。

しかし、眼圧が高くない人にも緑内障が少なくないことから、眼圧以外にも緑内障の原因があると考えられています。原因として「視神経が弱い」、「血流が少ない」、「視神経に毒として働く物質が存在する」「、免疫の異常」などいろいろ考えられていますが、どれも確実な証拠は見つかっていません。(日本眼科学会様HP)