腫瘍マーカーという血液検査があるのを多くの方がご存知かと思いますが、同じように血液検査で炎症の度合いをはかる「炎症マーカー」という検査があります。今日のブログは当院における、犬と猫それぞれの炎症マーカーについて取り上げてみようと思います。多少専門的だったり分かりにくかったりするやもしれませんが、出来るだけかみ砕いて整理しながらアップしますのでよろしくお付き合いください。

 

 

⬇︎ 当院のSAAの検査器。他にも甲状腺や副腎皮質ホルモンの検査が可能です。以前のブログ2020年(オリンピックイヤー)でも取り上げてるのでよろしければご参考にしてください。

 

 

そもそも炎症マーカーとは何ぞや? ですが、簡単に言うと体内の炎症の程度を推測する検査になります。以前は院内検査では白血球の数値で判断する程度だったけど、いつの頃からか「犬はCRP、猫はSAA」という数値で判断可能となりました。

 

ただここで問題なのはどちらの検査も、特定の病気や特定の場所の炎症を知るものではなく「体のどこかに炎症が存在する」というのが分かるだけです。更には調べる経過時期や状態によっても変化するので、意外とどうしてこんなに高いのか?とか、逆にどうして上がってこないのか?(低いのか)と疑問に思う時もあります。

基本的に問診や触診が重要なのは勿論だけど、人間のように痛みや不快感の部位がなかなか分からない動物の場合、この検査で異常値が見られれば今現在何かしらの問題を抱えてる状態と判断できるので、とりあえずとっかかりの血液検査としては非常に有用と思っています。

 

 

●CRP
体内で炎症や組織の破壊が起こると増えるタンパク質。細菌感染やウイルス感染、急性膵炎など様々な炎症性疾患の重症度の目安となります。歯周病やグジュグジュしてる皮膚病や外耳炎でも上がる時あるけど、総じて体内に大きな感染や炎症が無いと意外と大きな異常値になりません。肺炎や気管支炎や悪性腫瘍、咬傷や外傷で膿んできたり子宮の病気だったりすると顕著に上がってきます。

 

 

●SAA 
SAAも同じく各種感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患などの炎症状態の把握に有用とされ、特に猫の場合はCRPの感度が低くて使い物にならないとされてるので、CRPに比べて感度が高いSAAを用いて判断するのが現在一般的です。猫の炎症マーカーとして日本が世界に先駆けて行ったものらしいです。

 

 

 

⬇︎ 当院の血液検査の結果表。CRPは以前別の検査機器では最大数値20まで測れたけど、だいぶ前に他の検査も同時に測定出来る富士フイルムの機械になってから最大値7までとなりました。SAAは最大値225まで測定でき、それを大幅に超えるとエラー表示になるので炎症の大きさの把握には非常に有用で便利な機械です。