最近高齢な犬や猫が増えると共に、「この子の年齢や病気でもワクチン打った方が良いのか?」という様な質問を受ける機会が多くなりました。以前のブログでも少し取り上げてるので、よろしければ参考になさってみて下さい。

 

混合ワクチン(総論)

混合ワクチン(各論)

 

 

結論として現状でワクチンメーカーが毎年推奨してる以上、我々の判断で「数年に一回でも良し」と公言するのは万が一の際の責任上からもなかなか難しいものがあります。理想的にはやはり抗体価チェックした上での判断じゃないと厳しいとしか言えない感じします。

 

ただこれはあくまで個人的にはですが、秋田県はここ何年も命に関わる程の大きな伝染病の発生は比較的少ないし、高齢あるいは重度病気治療中の場合はそれらを「天秤にかけて打たない」という判断でもいいかと思います。ただ要注意なのは他県からの移動販売等で怖い伝染病が発生という事案も実際あるので、あくまでケースバイケースになりますね。

 

もっとも基本的には、これまで注射して副反応等なければメーカー推奨通り打って差し支えないとも思うので、ご心配な方は遠慮なく私やスタッフに相談なさってみて下さい。それぞれの状況等に応じて判断する事になるかと思います。

 

 

 

今回当院で検査機器等でもお世話になってる富士フィルムさんから(写真メーカーのイメージ強い富士フィルムさんですが)、犬のワクチン抗体価検査の学術資料が病院向けに公表されたのでかい摘んでお話ししようと思います。

 

 

 

 

レイのコロナ禍経て、「ワクチンは万能じゃない」という事を皆さんうすうす気付いてるかと思うけど、今回発表された学術資料からもそれは読みとれます。

 

まず初めにそもそもワクチン打っても、抗体価が思った程上がらないあるいはほとんど上がらない子も一定数いるという事と、そこそこ抗体価上がってる子でも「1年後に11.4%、2年後に12.6%、3年後には23.3%」の子が低抗体価、つまり伝染病に対する防御力がほとんど期待出来ない状況になります。

 

問題は、これをどの様に解釈するかではないでしょうか?

 

勿論抗体価チェックした上であれば何の問題もないけど、それ無しで「2年で良い3年でも良い」というのはその子が8割9割の大丈夫な方に入ってるかどうかという疑問が解消されない限り、やはりどうしても不安が拭えないんじゃないでしょうか。

 

あともう一つ素朴な疑問として、検査時抗体価高くてもその後どんどん日毎に落ちていくわけなので、はたして1年後のワクチンまで大丈夫なのか?という問題もあります。考えれば考える程悩ましいテーマですね。

 

ちなみに抗体価チェックは、採血後検査屋さんに送付するまでの処理と手間暇が結構必要なため、今現在当院においては1万円➕クール宅急便台となってるのでご参考になさって下さい。