膀胱結石の話題は過去何度か取り上げたけど
通常は膀胱内に留まってるケースが多いけど、たまに尿道内に下りて来て排尿困難になる子がいます。そして理論上はオスメス関係ないはずだけど、実際はオスの方が犬猫共に尿道が細長いために発症率は段違いに多くなります。
症状は「頻尿」「トイレ時間長い」「血尿」「吐き気」「食欲不振」などだけど、完全に排尿困難になると腎臓に負担かかって数日中に急性腎不全で亡くなってしまうという恐ろしい病気で、たとえタチタチと少しずつ出てる(排尿してる)とはいっても、長引けば長引く程やはり腎障害を引き起こしてしまうので早めの治療が肝心です。
ちなみに治療は食欲・元気あって吐き気も無ければ、通常は「抗生剤」「消炎剤」「結石溶解のサプリ」などが中心となります。当院では必ず尿検査やレントゲン検査で石があるかどうか、あるいはその石のタイプはどの様な物か可能な限り調べるようにしてるけど、そうしないとこの後の「食事療法」に進む場合どれを選択すべきか難しい展開になったりもします。
さてここで特に大問題になるのがオス犬の膀胱結石で、膀胱内に石が留まってるうちはまだいいけど、石が尿道に降りて来てペニス内の尿道に詰まってしまうと非常に厄介です。通常は生理食塩水を圧力かけてカテーテルで膀胱内に押し戻してやるんだけど、ウンともスンとも動かないケースも有って手術も術後経過も非常に大変なものとなります。
⬇︎ この子の場合はペニス内にバッチリ石が1個映ってるけど、幸い生理食塩水で膀胱内になんとか動いてくれたので、手術は膀胱切開して合計4個の結石を摘出して無事終了でした。
⬇︎ こちらは以前にも取り上げたオス猫の膀胱結石だけど、右側の黒線で囲った中にペニス内の沢山の石が見えます。オス猫の場合当院では歯医者さんが使うような超音波スケーラーという器具で、ペニス内の石を細かく砕いて洗い出したり膀胱内に押し戻したりしてとにかく早く尿道を開通させて溜まってる尿を出してやります。ほとんどの子はこの時点で大なり小なり腎障害になってるので、カテーテルを入れたまま垂れ流し状態にして点滴を数日間入れての入院となります。
次回はこの病気のコントロールに非常に重要な、「食事療法」について改めて取り上げてみようと思います。