久しぶりのオンライン講習会の話題です。今回は以前にも何度か取り上げた
老齢の犬や猫には非常に多い「慢性腎臓病」についてです。この慢性腎臓病は年間を通して非常に多い病気だけど、それもそのはず特に猫の死因の3割近くが泌尿器疾患とされてるので、高齢な子が増えれば増えるほど慢性腎臓病は増える事になります。
さてまず最初に、何故犬や猫は腎臓病が多いんでしょうか?
その答えは腎臓の組織である「ネフロン」と呼ばれる、血液を濾過して尿を作る単位の数の違いにあります。
通常腎臓1個につきネフロンの数は
人 100万個
犬 40万個
猫 20万個
とされてるように、比べて頂くと一目瞭然、特に猫は人間の5分の1程度しかない事が分かります。更に問題なのは加齢と共にネフロンの数や機能低下は必ず起こるので、ちょっとした病気などによって腎臓にダメージ受けると益々ネフロンの働きが落ちて「慢性腎臓病」へと向かうわけです。
加齢性以外に考えられる要因として猫は色んな物を舐める習性あるのでその際の薬剤性や感染性、あとこれも猫に非常に多い泌尿器症候群と呼ばれる結石や膀胱炎などは直接要因となり得ます。
そのため特に猫においては早期発見早期治療が求められるけど、一般的に血液検査上の異常が現れる場合相当数のネフロンが既に失われてる(75%)とされています。ある特別な尿検査が早期に診断可能で当院でも一時期機械揃えて行ってたけど、あまりのコスト増しと要する時間とで断念した経緯があり、今現在は一般的な指標となる「クレアチニン」という血液検査で診断するようになりました。
通常そのクレアチニンの数値異常が3ヶ月程度持続したら「慢性腎臓病」とされ、その後の平均余命は「2〜3年」という位猫にとって大変厳しい状況が予想される病気です。人間の様な「人工透析」や「腎臓移植」のハードルが極めて高い現状、いかに早く発見して内科的治療に入るかがポイントかと思います。
⬇︎ いわゆる「ステージ分類」。正常値付近であってもステージ2になり得るので、正常値ギリギリ程度だと全く安心出来ない数値という事になってしまいます。
次回は、慢性腎臓病の治療について取り上げようと思います。