とあるネット記事で、「乳がんの手術時に避妊手術を同時にしなかったから、その後に子宮の病気を発症させて愛犬が亡くなった。他の獣医さんに聞いたら避妊手術を同時に行うのは鉄則中の鉄則らしい、納得出来ない、その獣医師は絶対許せない」といった内容の書き込みがあったようです。

 

おそらく子宮蓄膿症を併発したと思われる内容で、たしかに避妊手術(当院では卵巣と子宮の全摘手術)をしていたら発症しなかった、つまりそれが原因で亡くなる事もなかったのは間違いないけど、問題は避妊手術同時が鉄則中の鉄則かどうかという事につきます。

 

 

 

 

これに関連する内容は既にブログアップしてるけど、

猫の避妊手術のタイミング

乳腺腫瘍の手術方法

猫の避妊手術と乳がんの関係性

 

結論から言うと、「同時の避妊手術はしてもしなくとも良い。しないよりした方がベターかも?」という程度が今現在スタンダードな認識になっています。少なくとも鉄則中の鉄則では全くありません。私も以前は避妊手術も同時に行なっていたしオーナーさんにもお勧めしてたけど、今現在名だたる大御所や講師の先生も行なっていないという話を聞いてからやっていません。

 

 

詳しくは上のブログ読んで頂ければお分かりなるかと思うけど、見やすいように以下要点を抜粋しておきますのでご参照ください。⬇︎⬇︎⬇︎

 

「先ず避妊手術については以前にもお話した通り2歳を過ぎての手術は予防効果に有意差無しとされており、今回のセミナーの先生も同時に避妊手術は行っておりませんでした。」

 

「次に切除範囲は、乳腺片側全切除ケースは複数個ある場合であり、1個のみの場合は周辺乳腺含めた部分切除でもその後の発生率に有意差無しと結論づけられています。これには乳腺部周辺のリンパ系と静脈血の流れが関係しています。よって先生も今回説明されてた手術では周辺乳腺含む部分切除となっています。」

 

「なお部分切除してそれを組織検査した上で改めて手術という方法もあるけど、どうせ全身麻酔入れてやるなら最初から全切除でやった方がという事で、現在先生の所ではほとんど最初から完全切除で手術を行ってるそうです。」

 

 

 

結局インフォームドコンセントの問題で、特に乳腺腫瘍は再発率も高いのでどういう手術方法か、避妊手術はなぜ行わないのかまで当院の場合詳しく説明しています。

 

ただそれでも信頼されてなければ、他の先生の言う「鉄則中の鉄則」の方を信じてしまうかもしれないのであまり偉そうに解説出来るわけでもないけど、情報として皆さんには是非知っておいて欲しいと思い再度アップした次第です。