過去に何度か寄生虫や検便についてアップしてるけど、
今回は少し詳しく検便方法についてお話ししようと思います。もしお食事中の方いらっしゃったら、どうぞ遠慮なく読み飛ばしてください💦
まず通常一般的で簡単な検査としては、お尻に採便棒という棒状の物を入れて便を採取し、それをスライドガラスに拭って顕微鏡で虫卵の有無を検査していきます。これをもう一段詳しく調べる検査方法として、今回ご紹介する浮遊法(当院では集中法と呼んでます)があり、多少時間はかかるもののより確かな虫卵の検査方法となっています。
⬇︎ 用意するのは検査キットと飽和食塩水と、オーナーさん持参の便(親指大程度)とスタッフの万一の感染防止用手袋です。
⬇︎ まずは飽和食塩水を少しだけキットの中に入れ、そこに適当量の便を入れて撹拌棒みたいなのでグリグリ回して十分に細かく粉砕します。あとで大きな便が浮いて来ないように撹拌棒?を、上からバチっと押し込んで圧着すると下準備完了です。
⬇︎ ここに飽和食塩水を上まで目一杯、表面張力で少し盛り上がる程度注入して終わりとなります。あとは約15分後表面に浮いてる部分をカバーガラスですくい上げてスライドガラスに被せて顕微鏡検査だけど、この時表面部分の液体をこぼさない様に上手く取らないとせっかくの検査が台無しになってしまうので細心の注意が必要です。
ちなみに飽和食塩水とは食塩を限界まで水に溶かしてこれ以上もう溶けないという塩水を指すけど、塩水は水よりも浮力が大きくより重い物を簡単に浮かせる事が出来るので、便の中に有る虫卵が時間と共に表面に浮かんで来るという理屈です。この時他の便も一緒に浮いて来ると検査がしにくくなるので、この検査キットは糞便を下の方に固定して虫卵のみ浮かんでこれる様な細工が施してある優れものです。
ただしここで大事な事は、これら検査は基本的に寄生虫の卵の有無を見るもので、成虫を実際に見つける検査では無いという事です。寄生虫が腸内に卵を産むまでは時間差があるので、実際に寄生虫が便と一緒に出てるのに卵が見つからなかったり、検便で大丈夫とした数日後に寄生虫が出て来たりというのもたまにあります。
子犬・子猫の場合は親からだったり生まれた環境で寄生虫いるケースも多く、また頻繁に散歩や外出する子の場合は当然その際に感染する可能性も高いので、軟便や下痢した時以外でも出来るだけ定期的に検査を行うのが理想的かと思います。