今回も相変わらず診察が多い痒みを伴う皮膚病、アトピー性皮膚炎(アトピー症候群)についての話題です。皮膚病は外耳炎同様日常的によく診る症状の一つであり、見た目的にもハッキリ赤みや痒みが見える事からオーナーさんも本当に辛いものがあると思います。
すでにこれまで何度も取り上げてて、犬アトピー性皮膚炎、猫アトピー症候群、猫のアレルギー性(アトピー)皮膚炎、犬の食物アレルギー、スパイシー、と内容が似てるかと思われるでしょうが、なるべく違う視点や切り口で取り上げてみようと思います。
皮膚病は原因も症状も様々であり、「この治療をしたら必ず治る!」という事はなかなか難しいところがあります。以前のブログでも触れてますが、我々から見ると結構良いと思える治療経過でも、オーナーさんの感じ方や受け取り方とは開きを感じる時がやっぱりあります。我々の説明不足が大きいかもしれませんが、オーナーさんからするとこれだけの手間暇と費用掛けたのに、、という思いが強い程どうしてもそう思っちゃうのかと思います。
⬇︎ 以前お話しした様に今現在犬では『アポキル』というお薬が主流となって来てますが、猫でよく使われている『アトピカ』というお薬もあります。
実は当院ではまだ犬に処方した事はほとんどないのですが、なかなか効果もそれなりにあるようです。ただやはり猫と同様、投薬最初の頃に軽度の消化器症状(嘔吐や下痢)出る子が1〜3割弱程度いるみたいですね。しかし概ね安全性は高く長期連用も可能なお薬となっています。俗にいう「免疫抑制剤」ですが、実際の皮膚病治療領域での薬用量だと「免疫調節剤」と言っていい量で、あまり心配する必要も無いと以前他セミナーでお話しがありました。
⬇︎ 脂漏性皮膚炎、いわゆる「フケ症」です。原因がカビの場合もあるので一概にこれで必ず効果ありというわけでもないでしょうが、写真では相当改善してますね。毛もツヤツヤして綺麗に生えて来ています。
⬇︎ この症状は本当に多いです!ステロイドとの併用で100%改善だそうですが、そもそもステロイドで多くの症例に有効と思われるのですが、、💦 ちなみに当院ではアポキルかステロイド内服、もしくはステロイド外用薬を処方していますが、内服と外用薬の併用が1番効果的で良い様に感じます
⬇︎ ステロイドやアポキル等の抗炎症薬を急に止めると、薬を飲む前よりも症状悪化がみられる『リバウンド現象』が報告されています。なので休薬したい時はいきなりサクッと止めるのではなく、出来れば徐々に減量しながら行うのが理想的です。
⬇︎ 比較的新しい『サイトポイント』という注射薬もあります。発売当初は彗星の如く現れ相当に期待しました。ただし毎月注射を打つ必要あるので必ず忘れずに来て頂く事と、体重区分にもよるけど内服よりも高くなってしまうので当院では未だ経験無しです。なおかつ程度ひどい子の場合は他の治療と併用してある程度改善してからの使用になり、長期コントロールとして非常に向いてる製品の様です。
⬇︎ 何度もお話ししてますが、皮膚病に限らず我々とオーナーさんのギャップを少しでも埋めるためには、あらかじめ十分な説明が必要とのお話しです。特に皮膚病は直接赤みやフケや痒みが見えるので尚更かと思います。
⬇︎ 長期の維持には注射をメインにして、悪化したら都度他の治療も併用しましょうという内容です。その位皮膚病は一筋縄でいかない症状の子も多いという事がお分かりなるかと思います。
次回ブログ予告?かもしれません。
⬇︎ 前回ウクライナでも触れた様に、今現在人事とも思えない状況のウクライナ。我々の業界でもウクライナ人道支援セミナーが開かれる事になり、私も心ばかりですが寄付して受講申し込みしました。「アトピー性皮膚炎」の最新トピックと、ここでも皮膚病がテーマとなっています。あまりマイナーなテーマ(失礼!)だと受講希望者が少なくなるでしょうから、多くの開業医が日頃悩みながらも関心が大いにある皮膚病のテーマは正解だと思います。