これまで何度か「フィラリア」に関して取り上げてきたので、ここを御覧になって頂いてるオーナーさんはもうご存じかと思いますがまだまだフィラリアは絶滅していません。数年前に5匹の感染例あったけど、残念ながら今年も早くもフィラリア感染で来院されたワンちゃんおります
おさらいになるけど、フィラリアはフィラリア感染してるワンちゃんを蚊が刺して、その蚊が他の犬や猫に刺して移る感染症です。ひとたび感染したら心臓から肺動脈にかけて寄生する長さ数10センチの寄生虫なので、単に虫下しかけたら消えて無くなるとか便に出て来るとかというものではないので非常に厄介です。
症状は「咳」「腹水」「疲れやすい」「呼吸困難」「赤いオシッコ」等で、症状が進むほど命取りにもなり得る感染症です。状態によっては緊急手術が必要になるので、万一これら症状が見られる場合はとにかく早めにご来院ください。以前のブログにも書いたように10数年前まで当院では毎年10件以上オペしてたけど、ここ最近は小型犬多く予防薬投与も広く認識されてる事からフィラリア手術はほとんど無くなってる現状です。知り合いの先生の話でも、フィラリアはほとんど見た事無いましてや手術は全く経験無いという先生も今は珍しくないようです。
さて治療に関してですが昔は命に関わるリスクを承知で盛んに駆虫剤投与の時代が続いたけど、今現在は各種フィラリア予防薬によって治療と予防を行なっています。保存療法と言って感染した寄生虫の寿命を少し早め、出来るだけリスクを避けてソフトに治療していく方法が主流となっています。
感染予防のための予防薬投与期間は、年々温暖化の影響か蚊の発生期間が長い感じなので当院では数年前から5月下旬〜11月下旬の計7回に変更しました。男鹿市と潟上市と五城目町などから来る子に特にフィラリアがよく見られるけど、田んぼや小川が多く蚊の発生期間が長いのが原因かと思います。あとはお外で飼ってたり野良犬の存在も関係してきます。寒くなって早ければ雪もチラついてくる11月に投薬?って思われる方もいるかと思うけど、予防薬の性質上非常に重要な時期になるので皆さんどうかお忘れなく投与なさってくださいね。
⬇︎ 検査キットの左1本線だけなら陰性、2本線が出ると陽性となります。
ちなみにフィラリアは犬以外にも「オオカミ、たぬき、キツネ、コヨーテ、ジャッカル」等のイヌ科動物、更には猫やフェレットや人間にも感染が見られる恐ろしい病気で、最近は当院でも予防される猫オーナーさんが段々増えてきています。猫の場合犬のように簡単に検査キットで確認出来ず、またほんの数匹のフィラリアで症状出て致死的展開に至ると言われてるので、特に蚊の発生多い地域や時々でも外出される猫ちゃんは是非予防された方が良いかと思います。