これまで腫瘍に関しては何度もアップしてるけど、
今回は抗がん剤の一つである、「ドキソルビシン」の点滴注射治療についてのお話です。
抗がん剤はそれぞれ「効能・効果・副作用」に違いがあり、腫瘍に合わせて選択あるいは組み合わせて治療を行っていくけど、このドキソルビシン(アドリアマイシン)は「悪性リンパ腫・肺がん・乳がん・骨肉腫」など割と幅広く使われる抗がん剤になります。
以前にもお話ししたように、「抗がん剤に副作用は付き物、効かない抗がん剤は毒物」という事から多少の副作用は承知の上で定法通りやるわけですが、そうは言ってもやはり深刻な副作用が出るのは困りものなので抗がん剤の選択と投与方法は重要で、昔よく使ってた ビンクリスチン(オンコビン)に比べると副作用はずっと少なく使いやすいように感じます。
⬇︎ 他に用意するのは「手袋・フェイスシールド付きマスク」。抗がん剤が身体に飛び散ったり目の中に入ったりすると一大事なので細心の注意が必要です。一般的に抗がん剤は妊婦さんや子供は取り扱い不可で、直接触れるのは勿論吸い込むのも(粉末)ダメです。なので基本的に抗がん剤を扱う場合は使い捨てで、そこら辺に液漏れなども無いように注意しなければなりません。
⬇︎ この注射は本来ゆっくり静脈内にというものだけど、動物の場合動いたりして液漏れするのが怖いので当院では点滴で行っています。1時間位で終わった後はそのまま生理食塩水に変えてライン内のも残さず点滴し、そのまま夕方まで継続治療して少しでも体への負担を減らすようにしています。
更にこの抗がん剤は液漏れすると激しい炎症を起こし、皮膚や筋肉が壊死してくる事もあり得るので点滴中も頻繁に確認が必要で、あまりに動いて点滴外れたり噛みちぎったりする恐れのある子の場合はスタッフが抑えたまま静脈内注射にとどめる事になるかと思います。
なちなみに昔は「抗がん剤の被曝」という概念が割と薄く、我々の業界では人体薬を割って処方しなければならない錠剤を「ノーマスク・素手」で取り扱ってた時代もあったりしました。
当然オーナーさんへの説明も十分必要なんだけど、何年か前に転院して来た子のオーナーさんが全く説明受けてないというお話聞いてびっくりした事あります。(あくまでオーナーさん談なので確認とれてません)
ご時世がらあらゆる事に慎重で説明も求められる時代、特に内服の抗がん剤に関してはより十分な理解も必要となるお薬なのでご参考になさってください。幸い今ならネットである程度薬の情報も得られるので、抗がん剤治療に限らず難しい病気の場合などは特に検索かけてみるのも良いかもしれません。